約束
−5−


「俺は昔、ムショにぶち込まれたことがある」
若頭がそう話し始めた。
「なに、たいしたことはやってない。だがな、そのとき俺をぱくった刑事に、俺は取調室でいたぶられた。俺もいろいろやってたからな・・・でも、俺はなにも言わなかった。それに腹を立てたんだろうな」
話が見えなかった。でも、若頭は話し続ける。
「それで、俺はその刑事に殴られ、蹴られながら思ったのさ。復讐してやるって」
若頭がにやっと笑う。獅子舞を思い出した。
「俺がムショから出てきたときには、その刑事はもうくたばってた。だから、そいつの息子に復讐しようと思った。でも、孫がいるって知ってな・・・息子よりも、孫をいたぶってやろうってな」
若頭が、全裸の少年の首輪につながっている紐を、亮さんから奪い取った。その紐を引っ張って、その少年を自分の前に立たせた。
「こいつは、こいつにとっておじいさんの復讐のために、ここに連れてこられたんだよ。そして、こうして俺達に辱められ、いたぶられてるって訳だ」
そして、少し声をひそめて言った。
「もちろん、こいつの親父も始末したけどな」
声をひそめていても、少年にも、僕達にもよく聞こえていた。少年は顔色も変えない。
(知ってるんだ・・・お父さんを殺され、それを知りながら、ここでこうして男達のおもちゃになっているんだ・・・)
男達のことが少し分かった気がした。それは僕等にとっては不幸なことだった。
「さて、こいつも加わって、ゲームを始めようか」
若頭がそういうと、何人かの男達があわただしく動き始めた。



運び込まれた物には、跳び箱の一番上の部分みたいなのに、なにか機械のような物がついていた。それは4台あった。ということは、僕等一人に1台、というわけだ。
男達が、あの全裸の少年をその跳び箱みたいなのの上にうつぶせにさせる。手足が跳び箱みたいなのについてるベルトで固定される。腰も同じようにされる。少年はちょうど跳び箱に抱きついたような格好で身動きが出来なくなる。そして、足下の方の機械を少年のお尻のところに固定する。機械から長さ1mくらいの心棒が、少年のアナルを狙っているかのように伸びている。
僕等も順番に同じようにされていく。
まずはジャニ系もどき。
初めに服を脱がされて全裸にされる。少し抵抗したけど、男達に押さえつけられてあっと言う間に裸にされた。体は思ったより白くて、あそこはそんなに大きくない。男達に押さえつけられて、隠すことも出来ないまま跳び箱の上に載せられて、固定される。機械がお尻のところに据えられる。
次は僕だった。抵抗しても無駄なのはさっきのジャニ系もどきのを見てれば十分わかったので、僕は抵抗しなかった。この人たちの前で裸になるのは少し抵抗があったけど、どうせもっと恥ずかしいこととかさせられるに決まってる。だったら、裸になるくらいは・・・そう思ってはみたけど、やっぱり恥ずかしい。なるべく見られないようにして、跳び箱の上にうつぶせになった。
飛び箱の真ん中より少し足よりのところにくぼみがあった。そこにおちんちんの位置を合わせて、手足をベルトで縛られる。最後に腰をベルトでぎゅっと締め付けられる。思ったよりも・・・というよりか、全く体が動かない。腰のベルトでお腹が跳び箱に押しつけられてる感じだし、顔を動かすのも大変だった。あとは気配でお尻のほうで何かしてるってことが分かるくらい。かちゃかちゃって音と、なんかをずらす音。なんとか顔を上げると、横でジャニ系もどきも顔を上げて僕の方を見ている。自分がどんな風にされているのか知りたいんだろう。僕だって知りたい。自分のお尻の方でなにがどうなってるのかを。
そして、イモ系の番が来た。顔を上げてるのがけっこうきついから、イモ系が跳び箱に乗せられる間、僕は頭を跳び箱に押しつけて目を閉じていた。少し嫌がってるような声・・・無駄なのにな、そう考えてる醒めた自分がいる。そして、かちゃかちゃという音。顔を上げてみると、男達がイモ系から離れたところだった。
これで、男達の目の前で、4人が全裸で固定されたってわけだ。

「久夫、あれを」
若頭が久夫さんに命じた。久夫さんは、どこかからワゴンを押してきた。ワゴンの上には白い布が被せられていて、なにが乗っているのか分からない。若頭がその布を取る。そこには大小様々なディルドが置かれていた。小さい物では指の大きさくらいの物から、大きい物では太股くらいの太さまでいろいろあった。
「さて、君たち、好きな数字を一つずつ言ってもらおう。1から9までの数字で、前に誰かが言ったのと同じ数字は使えないということで」
久夫さんが僕等にそう言った。でも、僕等は誰もなにも言わない。それが僕等がこれからされることを左右するんだということを感じていたからだ。
「なにも言わないってことは、どれでもいいんだな」
若頭がそう言って立ち上がった。
「じゃ、お前は9番だ」
若頭はワゴンの上の一番太い、太股くらいありそうなディルドをつかんで、それをあの刑事の孫が乗っている跳び箱の前に置いた。
「ひっ」
刑事の孫の声を初めて聞いた。おびえたような声だった。
「次は・・・」
若頭がワゴンに戻ろうとしたときに、ジャニ系もどきが声を上げた。
「ひ、い、1番!」
「1番か・・・」
若頭がワゴンの上のディルドを持ち上げて、その底面をのぞき込む。そこに番号が書いてあるらしい。
「これか」
少し細めの、でも結構長いディルドがジャニ系もどきの頭のところに置かれる。
ということは、細いのから順番に番号がついてるわけじゃなさそうだ・・・
「えっと・・・6番」
僕が声を出した。
「6番・・・6番っと」
若頭が僕に見せたのは、少し太めで長さが15センチくらいのディルドだった。底面にはちゃんと6って数字とその数字の下に線が書いてあって、真ん中に小さな穴が空いていた。
「最後、お前は何番だ?」
イモ系のところまで言って、若頭が尋ねていた。
「あ・・・そ、その・・・」
イモ系はなかなか答えなかった。
「答えないならこっちで勝手に選ぶからな」
そして若頭がワゴンに向かった時、イモ系が言った。
「ぼ、僕、5番です」
「5番ね・・・」
若頭は小さい方から2番目のディルドをイモ系に見せる。イモ系の顔が明らかにほっとしていた。
跳び箱をセットした男達が、僕等の頭のところに置いてあるディルドをもって、それぞれのお尻の方に回る。イモ系の方を見ていたら、お尻のところにある、機械から伸びている心棒の先に、ディルドを取り付けている。
「ひっ」
突然、お尻の穴になにか冷たいものがふれた。すぐにそれがローションなんだって分かった。ローションが塗られ、それぞれが選んだディルドが挿入される・・・僕のおしりにも、あの太めのが入ってくる。その太さ、その感覚に、若頭に犯されたときの感触がよみがえる。おちんちんが勃起した。
「うぅ・・・」
となりでジャニ系もどきが声を上げた。あの長いディルドを奥まで入れられているらしい。そして・・・
「うがぁ」
悲鳴だった。あの刑事の孫のところに男が2人いた。おしりに、あの太股くらいのディルドを無理矢理押し込んでいるようだった。
(あんなの・・・入るわけないじゃん)
冷静にそう思った。そして、僕等だって一歩間違えばあの子と同じ目に会うんだってことに気が付く。
「うぅぅぅぅぅぅ」
刑事の孫がうめく。僕は反対側、イモ系の方に目を向けた。
イモ系の方はすんなり挿入できたようだった。

「さて、準備ができたようなので、第1回戦のルールを説明しよう」
久夫さんが言った。
「ルールは簡単。射精したものから順に抜けていって、最後に残った者、つまり一番いくのが遅かった者が負けだ」
つまり、お尻の刺激だけでいけってことだ。あのときのように・・・
「だいたい分かると思うが、いまお前らのケツに刺さってるのは、自動で動くようになっている。今、動く部分の長さも合わせたから、ディルドは抜ける直前のところから、根本まで入るようになってる」
「そ、そんな・・・」
ジャニ系もどきが辛そうな声を出す。
「自分で選んだディルドだ。あきらめろ」
久夫さんはジャニ系もどきに冷たく言う。
「そして、初めはそんなに早く動かないが、時間が経つにつれて動きが早くなる。それから、ローションは気が向いたときに補充してやる」
押しボタンのようなものが付いたコードを若頭に手渡した。

若頭が言った。
「第1回戦、開始」
ボタンを押す。お尻の方でぶーんとうなり音がして、僕の中でディルドがゆっくりと動き出した。

      


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