それから数日間、僕等は部屋に監禁された。イモ系が死んだこと、あんな風に最後までいたぶられて殺されたことはショックだった。刑事の孫もたぶん殺された。でも、僕等はそれを見ていない。ビデオで見た光景はどこか現実離れしていた。それに比べて、イモ系は僕等の目の前で殺された。あの音、あの声、あの血のにおい、イモ系の動かない体・・・すべてが現実だった。下半身を血だらけにしながら笑っていた若頭の姿が脳裏に焼き付いていた。
「お前、俺達の仲間に入るか?」
僕は若頭にそう言われて、一瞬、あの人達の仲間になることを考えた。あんな人達の仲間に・・・
死にたいと思った。でも、僕にはなにも出来なかった。。毎日玉と竿の治療をされ、無理矢理食事を取らされるだけだった。
目を閉じるとイモ系が殺されたときの光景が浮かんだ。記憶の中の光景では、真っ赤な血がどくどくとイモ系の体から流れ出ていた。吐き気がした。
普通の生活をしていたこと、普通に学校に行って、友達と話をして、塾に行って、家族で食事して・・・そんなことがもう遠い遠い過去のことに思えた。
夜・・・たぶん夜だと思うけど・・・この窓のない狭い部屋の中でベッドに横たわって目を閉じた。
「涼君・・・」
心の中でつぶやいた。涼君を思うことで、なんとか正気でいられそうな気がした。 |