約束
−22−


ステージにはライトが当たっていた。そのライトの強い光のために、観客席にどんな人がいるのか、まったく分からなかった。僕等は若頭にステージの中央に押し出された。観客の顔はわからないけど、視線が集まっているのだけは感じられた。
「こんな中でするの?」
僕は小さくつぶやいた。
「見られてするのは慣れてるだろ?」
若頭が僕にだけ聞こえるように言う。
「じゃ、始めろ」
そう言うと、若頭はステージから降りる。僕等二人だけが、ステージの真ん中に呆然と立ちつくしていた。

ざわざわとした雰囲気が伝わってくる。僕等二人だけに注がれる視線を痛いくらいに感じた。ただ、観客席がよく見えない分、少しだけ気が楽に思う。そんな中で、僕等はなにをするでもなく突っ立っている。いや、なにも出来ないで突っ立っている。
(何かしなきゃ・・・)
そんな焦りのようなものを感じていた。心臓の鼓動が大きく聞こえた。

「ね、やろ」
僕はジャニ系もどきにささやいた。そして、その腕に軽く触れた。
「触るな」
次の瞬間、ジャニ系もどきが僕の手を払いのけて言った。
僕は払いのけられた手をあげることもおろすことも出来なかった。どうしたらいいのか分からない。ただ、時間が過ぎていく。
(何とかしないと)
焦りばかりが大きくなる。と、ポンッと小さな音がして、視界の隅でなにかが動いた。そっちに目を向けると、そこにモニターがあった。AとBという文字と、それぞれの文字の下に「10」と「0」という数字が映っている。誰かが、今のやりとりで10点を入れたんだ。
でも、僕とジャニ系もどきのどっちがAでどっちがBなのか、聞くのを忘れていた。今の10点はジャニ系もどきに払いのけられた僕に入ったのか、それとも僕を払いのけたジャニ系もどきに入ったのか、分からない。これじゃ、どっちが勝ってるのか分からない・・・ますます焦りが大きくなる。
さらに、モニターには「1:57:19」と表示されている。その数字は、一つずつ減っていた。まもなく、このゲームが開始されてから3分が経つって訳だ。
ライトの強い光が僕等の体に当たっている。じりじりと焼けるような暑さを感じた。緊張と焦りとこの暑さで、僕の体はじっとりと汗ばんでいた。
「何かしないと・・・」
そうジャニ系もどきに言ったその時、僕は軽いめまいを感じた。いや、それは単なるきっかけだったんだろう。僕の中で何かがはじけた。初めはほんの小さな何かだったのが、どんどん大きくなってくる。体の中が熱くなって、そして震える。息が荒くなる。
「ねぇ」
ジャニ系もどきに声をかけた。その声が波紋のように広がっていくのが見える。ジャニ系もどきは動かない。その唇だけが光って見えた。僕はジャニ系もどきの体にしがみついてその唇に無理矢理キスをした。唇が触れ合う感触が、強烈な快感となって体全体に広がった。
「うぐぁ」
唇を押しつけたまま、うめき声をあげた。僕は腕に力を込めて、もっと強く抱きしめた。体が密着するだけで、また快感がわき上がってくる。むさぼるように唇に吸い付く。舌をジャニ系もどきの堅く閉じた唇に無理矢理ねじ込む。ジャニ系もどきの歯の表面を舌でなぞる。
ジャニ系もどきは僕の腕から離れようと体をよじる。でも、僕はその体を離さない。自分でも驚くような力でジャニ系もどきを抱きしめていた。体がこすれ合うたびに、快感がうねる。唇を押しつけ、体を抱きしめたまま、股間を押しつける。学生服のズボンの上からも、お互いが勃起しているのを感じる。あの薬とカプセルが心と体を淫乱に燃え上がらせている。ジャニ系もどきも同じはずだ。でも、ジャニ系もどきは僕のように爆発していない。体を堅くして、僕から逃れようとしていた。それだけ、この僕を、イモ系を夢中で鞭打った僕を許せないんだ。それは頭では感じていた。でも、感じている頭と淫乱になっている体は完全に別物のようだ。頭で考えているようには体が動かない。体はジャニ系もどきの竿に僕の竿をこすりつけていた。
「や、やめろ」
ジャニ系もどきが顔をのけぞらせて言った。でも、ジャニ系もどきの息も荒かった。僕はそのままジャニ系もどきの体を無理矢理押し倒した。

ステージの床の上で、僕はジャニ系もどきの体に馬乗りになっていた。二人とも息が荒かった。そのまま、またジャニ系もどきの唇にむしゃぶりつく。
「んくっ」
そして、舌をつっこむ。今度はジャニ系もどきの口が少し開く。そこを舌でこじ開け、そのままねじ込んだ。
そんなキスをしながら、片手はジャニ系もどきの竿をズボンの上からつかんでいた。ジャニ系もどきが上半身を起こして僕の背中に手を回す。ぎゅっと抱きしめる。
「あっ」
さっきは僕が触ることすら拒否していたジャニ系もどきが、今、僕の体の下で腰を動かしていた。僕はジャニ系もどきの竿を握っていた手をどけて、竿と竿をこすり合わせる。お互いが腰を動かす。その一方で激しいキスを交わす。
お互いが、お互いの唇をむさぼりながら、竿をこすり合わせながら、相手の背中を抱きしめ、なで回した。そのまま、僕等はステージの上を転げまわる。いつの間にか、ジャニ系もどきの手が、僕の学生服のボタンをはずし、カッターシャツをまくり上げ、その下に着ていたTシャツの裾から中に入ってきていた。肌を直接触られると、今までの何倍も体がぴりぴりする。僕もジャニ系もどきの服を脱がそうとするけど、そのたびにジャニ系もどきの手が僕の肌をはい回り、その気持ちよさに動きが止まってしまう。
「はぁ・・・」
また僕がジャニ系もどきの上になっていた。僕のお尻の下で、ジャニ系もどきの竿が熱く、堅くなっている。ジャニ系もどきは僕の体に手を延ばし、服の下につっこんでなで回す。僕はジャニ系もどきの上で体をのけぞらす。体中が熱くて、体中が性感帯になったようだ。
ジャニ系もどきの手が、僕のズボンのベルトにかかった。
「待って」
僕はジャニ系もどきの体に覆い被さった。そのまま、ジャニ系もどきの学生服とカッターシャツのボタンをはずす。Tシャツをたくし上げ、乳首にキスをし、舌で刺激する。
「うっ」
ジャニ系もどきが頭をのけぞらす。僕はさらに乳首に刺激を与える。軽く歯を立て、音を立てて吸う。そして、ジャニ系もどきの上半身を裸にする。
僕の下で、ジャニ系もどきは上半身裸で横たわっている。息が荒い。僕は一旦ジャニ系もどきの上から降りる。立ち上がり、そして僕も上半身裸になる。ジャニ系もどきも立ち上がって、裸の僕の体を裸のジャニ系もどきが抱きしめる。ジャニ系もどきの体温が伝わってくる。肌と肌が触れ合う感触が気持ちいい。お互いの背中をなで回し、また激しくキスをする。そのまま、僕はしゃがみ込む。ジャニ系もどきの前に跪き、股間に顔を埋めた。そのまま大きく息を吸う。顔を離してジャニ系もどきのベルトを外す。ズボンのボタンを外してジッパーを下ろすと、そのまますとんと床まで落ちる。僕の目の前に、白いブリーフが現れる。
(僕のと違うな)
服は、毎朝部屋に準備されている。それ以外に僕等に着る物は与えられない。だから、このブリーフもそうやって準備されていた物に違いない。僕の部屋に置いてあったのとは違うけど・・・そう思いながら、ブリーフを下から持ち上げているジャニ系もどきの竿に頬ずりした。ジャニ系もどきは、僕に竿を押しつけて、短く言った。
「早く」
僕はブリーフの前あきから、ジャニ系もどきの堅くなった竿を取り出した。先端が少し皮を被っている。観客席が少しざわめいた。僕は、皮を剥いて、亀頭のくびれのところに舌を這わせた。

ジャニ系もどきの亀頭に舌を這わせながら、僕はちらりとステージ上のモニターを見た。Aの下の数字が80、Bの数字が120だった。どっちがどっちなのか分からない。僕がフェラしてるから、僕の方が点数が高いのか、それともちんこを晒してるジャニ系もどきの方が点数が高いのか、どっちがどっちか分からない。僕は、ジャニ系もどきのブリーフに指をかけて、膝のところまでずり下ろした。そして、竿を口に含む。そのまま、根本近くまでくわえ込んで、またモニターを見た。
Aが110点、Bが160点になっていた。そして、僕等が始めてから、18分が過ぎていた。
僕はジャニ系もどきのちんこをくわえたまま、彼のお尻に手をかけて、それを開いた。観客にジャニ系もどきのお尻の穴が丸見えになっているはずだ。その穴に指を当てる。ジャニ系もどきのアナルは少し湿っていた。汗なのか、それとも薬のせいなのか・・・その湿った穴に、僕は指を少し入れてみる。ジャニ系もどきの体がびくっと反応する。そのまま指を第一関節まで入れる。中で少し動かす。ジャニ系もどきが感じているのがわかる。それと同時に、僕も気持ちよくなる。
僕のアナルも湿ってるんだろうか・・・きっと同じだと思った。。ジャニ系もどきの体に起きていることは、僕の体にも起きているはずだ。薬のせいで僕等の体はおかしくなっている。何かが体に触れる度に、僕等の体は震えるほどの快感を感じる。顔が見えない観客達の視線も、体で感じた。それが僕等の体に突き刺さるのが気持ちよかった。僕も観客にさらされたい、そう思った。
そう思ったときに、ジャニ系もどきが僕の頭を押さえて、股間から引き剥がした。

      


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