ジャニ系もどきは、僕を吊り下げているワイヤーを操作するリモコンを持って言った。
「迷惑かけた罰だ」
そして、ボタンを押した。遠くの方で、かすかにブーンという音がした。
背中で両手を縛られたままの僕の体が下がっていった。あのバケツが少しずつ近づいてきた。バケツの中には液体が入っていた。何人かのおしっこ・・・そして、そのおしっこの中に、僕が吐いた物と僕のうんちが浮かんでいる。頭がそのバケツの中に入る。ひどい臭いで吐きそうになる。僕は目をぎゅっと瞑る。僕の頭はバケツの中の汚物の中に入っていた。少しずつ体が下がって、目のあたりまで、おしっことうんちが混じった液体に浸る。それが目に沁みる。その状態で僕の体は止まった。
「汚物漬けにしてやる」
ジャニ系もどきが言った。僕は小さな声で言う。
「やめて」
それはジャニ系もどきにしか聞こえないような声だった。でも、ジャニ系もどきはなにも言わない。またかすかにモーターの音がした。僕は息を止めた。
ステージの上で、逆さ吊りにされた少年の頭が、汚物で満たされたバケツの中に沈んでいった。昇降装置を操作している少年は笑っていた。そして、勃起していた。
吊り下げられた少年の頭が完全にバケツの中に隠れると、もう一人の少年は昇降装置から手を離して、代わりに鞭を手にした。それを振り上げ、少しの間、その恰好で静止する。やがて、少年はにやりと笑うと、逆さ吊りの体に鞭を振り下ろした。
声にならない声がした。
「止めるか?」
客席の中央で見ていた若頭が、隣に座っている客の一人に顔を寄せて言った。
「いいよ、別に」
その客は、薄笑いを浮かべた顔で、ステージの上から目をそらさずにつぶやいた。抑揚のない声だった。
「お前がいいのなら・・・まぁ、構わんが」
若頭は椅子に深く座り直した。そして、腕組みしてステージの上の2人の少年に視線を戻した。
(苦しい・・・)
息を止めていたところに激しい痛みを感じた。思わず息を吐き出してしまい、そして汚物を思い切り吸い込んだ。汚物の中で僕は咳き込んだ。汚物が口から、鼻から入ってきた。
(死ぬ・・・)
僕は必死で体を揺すった。頭がバケツに当たる。もっともがく。そして、ようやくバケツが倒れて、僕の頭は汚物から解放された。
「げぼっ」
僕は咳き込んだ。飲み込んだ汚物を吐いた。何度も何度も僕は吐いた。やがて、少しだけ周りを見る余裕ができた。ジャニ系もどきが鞭を握って立っていた。笑っていた。笑いながら、勃起させていた。
(もう少しで死ぬところだったのに・・・)
怒りがわいてきた。僕はジャニ系もどきを睨み付けた。
「なに、その顔」
ジャニ系もどきが言った。
「きたねぇ顔しやがって」
僕の顔は汚物にまみれたままだった。
「あのまま死んだらよかったのに。糞まみれのまま死ねよ」
ジャニ系もどきが僕のところに近づいてきた。途中で、天井からぶら下がっているリモコンを手にした。
「ほら、きれいにしろよ」
リモコンを操作して、僕の体を床まで下ろした。そして、僕の頭をつかんで、床にこぼれている汚物に押しつけた。僕は目と口を堅く閉じて顔を汚物から反らした。
「舐めてきれいにしろって言ってるんだよ」
ジャニ系もどきが僕の頭を一旦持ち上げて、そして少し勢いを付けて床にぶつけた。僕は受け身を取ることも出来ずに、頭を床にぶつける。
「ほら、やれよ」
僕は目を開いた。目の前の汚物に舌を伸ばす。僕はジャニ系もどきに命令されるまま、少しずつ床を舐めた。
「前にあいつはこうやって殺されたよな」
やがて、ジャニ系もどきは床を舐めている僕の頭の前にしゃがみ込んで言った。
そして、両足で僕の頭を挟み込む。そのまま、少し僕の体を吊り上げる
「口開けろよ」
僕の鼻をつまんだ。息が出来なくなって開いた僕の口に、勃起した竿を押し込んでくる。
「ぐはっ」
また喉が詰まる。でも、ジャニ系もどきはさらに突っ込んでくる。
「ごえ・・・」
僕の体を抱きかかえるようにして、ジャニ系もどきは僕の喉の奥に竿を突っ込んできた。突っ込むというよりむしろ、僕の口を竿でふさぎ、そして鼻を体に押しつける、そんな感じだった。
(苦しい・・・)
さっきも苦しかった。でも、今の苦しみはまた少し違っていた。どんなに空気を吸い込もうとしても入ってこない、そんな苦しさだった。
急に、ジャニ系もどきが僕の頭を離した。呼吸が楽になる。
「俺のじゃ死ねないかな」
そして、ステージ脇の男を手招きした。男が僕等のそばまでやってくる。
「さっきみたいに口に突っ込んであげて下さい」
ジャニ系もどきは男に言った。男は無言で頷くと、その場で服を脱いだ。若頭ほどじゃないけど、太い物が勃起していた。
「じゃ、俺はこっちをやってやるよ」
いつの間にか、ジャニ系もどきが僕の後ろに立っていた。ローションを僕のお尻に垂らす。僕の穴に指を入れてくる。
「じゃ、始めて下さい」
ジャニ系もどきがそう言うと、男が僕の顔の前に座り込んだ。そして、僕の口に男の竿が入ってくる。僕の喉が男の竿で塞がれた。男が僕の体を抱きしめる。僕の頭が男の腹に押しつけられる。鼻からも呼吸できなくなる。
と同時に、僕の穴にジャニ系もどきが指をつっこんできた。指だけじゃない。何かを・・・腕を押しつけてきている。僕は男に喉を犯され、鼻を塞がれながら、ジャニ系もどきに腕で犯されようとしていた。
「ぐばっ」
苦しさと痛さが同時にやってきた。僕の喉を犯す男も、僕のアナルを腕で犯そうとしているジャニ系もどきも、どっちも手加減なんて言葉は世の中に無いかのように容赦なかった。
(死ぬ・・・)
今度は体を揺すっても、男にしっかりと抱きかかえられているために少しも楽にはならなかった。ジャニ系もどきも更に強く僕に腕を押しつける。
(さ、裂ける)
そんなことを感じながら、僕の意識は少しずつ薄れていった。
「いいのか、壊されるぞ?」
若頭は、再び隣の客に言った。
隣の客は、薄笑いを浮かべたまま、なにも答えなかった。若頭はしばらくその客の顔を見つめていた。その客は楽しそうなその表情をまったく変えなかった。
「久夫、止めろ」
やがて、若頭は前に座っていた男に命じた。男は立ち上がって、ステージの上に駆け上がった。
「やめろ、殺す気か」
誰かの声が聞こえた。僕の喉を塞いでいた男がすっと立ち上がった。
「げぼっ」
僕は咳き込み、そして吐いた。目を開けると、ジャニ系もどきが久夫さんに羽交い締めにされていた。その状態で、ジャニ系もどきはじたばたとあがいている。男は近くにはいなかった。
「お前、やりすぎだ」
久夫さんがジャニ系もどきに叫んだ。
「うるさい! こいつ、めちゃめちゃにしてやる」
ジャニ系もどきも叫んでいた。僕を睨み付ける目が血走っている。
「こいつ・・・ハイになってやがる」
亮さんもステージに上がってきた。久夫さんに押さえつけられているジャニ系もどきになにか注射した。その後、しばらくは暴れていたが、やがて、静かになった。
僕は床に下ろされた。頭が痛かった。得点は、Aが1310点、Bが1610点になっていた。そして、残り時間は0:18:43で止まっていた。
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