約束
−28−


どれくらい時間がたったんだろう・・・僕もジャニ系もどきも、ステージの上で横になっていた。残り時間は0:18:43で止まったままだった。
「お前、よく耐えたな」
亮さんに言われて、けっこうやばいところまで行っていたらしいってことを初めて理解した。薬を大量に注射されたり飲まされたりしたまま、逆さ吊りにされ続けて、そして汚物に顔を沈められ、喉を塞がれて・・・
「むしろ、薬打っといたのがよかったのかもな」
そう言いながら、亮さんは僕の竿を指ではじいた。自分でも驚いたけど、僕の竿は勃起したままだった。
「お前、殺されそうになってもずっと勃起したまんまだったからな」
(そうなのか・・・)
それどころじゃなかったってのが正直なところ。でも、ずっと勃起していたのも、なんとなくわかる気がする。
「あいつ、ちょっと薬が効きすぎたというか、おかしくなりかけてたみたいだ。やばかったな」
親指でジャニ系もどきのほうを指しながら言った。ジャニ系もどきはさっきからずっと横になったままだ。ジャニ系もどきのほうも勃起したままだった。傍らに久夫さんが跪いている。
「少し休憩して、また続きを始めるからな」
いつの間にか、若頭もステージに上がってきていた。
「お前ら、なかなかよくやってるよ」
そう言って、若頭が僕の頭をなでる。なぜかその瞬間、若頭に犯してほしいという衝動が僕の胸の中にわき上がった。
「あ、あの・・・」
僕は少し体を起こした。
「何だ?」
若頭が僕を見た。でも・・・
「い、いえ・・・・・何も」
僕はなぜか言えなかった。
「あと18分だ。最後まで楽しませてくれよ」
そして、若頭はジャニ系もどきの横にいる久夫さんと何か話して、客席の方に戻っていく。
「あと・・・18分」
僕は、ぼんやりとモニターの方を見た。正確にはあと18分と43秒。そして、Aが1310点で、Bが1610点。僕はどっちなんだろうか・・・
確か、一人の持ち点が最低で100点。20人くらいいるから、少なくとも2000点。"最低で"一人100点だから、一人平均・・・2、300点くらいかな。そうだったら、20人の合計で5000点くらいだろうか。だったら、あとまだ・・・2000点くらいあるんだ。もし僕がAだったとしても、まだ逆転は出来そうだ。Bだとしたら、まだ安心できないってことだ。とにかく、点を入れてもらわないと。ここの観客に点を入れてもらえそうなことって・・・

「再開する前に、もう1本打っとくか」
亮さんはそう言って、僕の腕に注射する。
(そんなことしなくても、立ちっぱなしなのに・・・)
そうは思ったけど、逆らうつもりはなかった。亮さんは立ち上がって、ジャニ系もどきのところに行く。久夫さんと少し話をして、それから僕と同じように、ジャニ系もどきにも注射した。
(やばいんじゃないの?)
その光景を見ながら、僕は少し不安になる。そんな僕の表情を見たからかどうかわからないけど、亮さんが僕のほうに戻ってくる。
「不安そうな顔してるな」
僕の顎に指をかける。
「まぁ、そうだな・・・死ぬなよ」
それだけ言って、ステージの横に消えていった。ステージ上には、僕とジャニ系もどきの二人だけ、二人とも横たわったままだった。

「再開だ」
誰かが言った。若頭の声に似ていた。僕はのろのろと上半身を起こした。少しくらっとする。なんとなく、体が熱い。始まったときみたいだ。でも、あの時よりも・・・
心臓がばくばくいっている。体が熱い、と思ったけど、熱いのは頭と体だけ、手は冷たかった。そして、指先が震えていた。膝にも力が入らない。立っているのが辛かった。でも、あそこだけは元気だ。
急に、ジャニ系もどきが僕の肩をつかんだ。そして、顔を押しつけてくる。キス、というよりも、顔に顔面をぶつけてくるような、そんな激しいキス。ジャニ系もどきの体も熱かった。僕よりも、もっと熱かった。
ジャニ系もどきは激しいキスをしてきた。いや、キスというよりも、口が当たるところならどこでもかまわない、そこに舌を這わせて、なめ回し、吸い付いてくる。
「あぁ」
体の表面がぴりぴりしている。触られるだけで声が出る。そして、ジャニ系もどきは僕の股間にむしゃぶりつく。僕はジャニ系もどきの頭をつかんで、押しつける。ジャニ系もどきが僕の竿に吸い付いてくる。膝に力が入らない。僕はジャニ系もどきの頭を抱え込んだまま、座り込む。ジャニ系もどきが僕の足を持ち上げる。そして、いきり立っている竿を僕のアナルに押し込んできた。
「うくっ」
十分広がっているとはいえ、さっきの中断している時間でローションはだいぶ乾いている。それでも、ジャニ系もどきは突っ込んでくる。皮膚と皮膚が擦れ合い、引っ張られ、引き裂かれるような感触・・・ジャニ系もどきも痛いはずだ。でも、半分笑ったような顔をしながら、僕に激しく突っ込む。
僕も・・・痛いはずなのに・・・
ジャニ系もどきの体を抱きしめ、その動きに合わせて僕も動いていた。
「はっはっはっ・・・」
ジャニ系もどきはまるで犬のように息をしていた。いや、僕も同じだ。僕も口を開き、涎を垂らしながらあえいでいた。ジャニ系もどきの口から、白い泡のようなものが出てくる。それが僕の顔にしたたり落ちる。僕は舌でそれを舐め取る。ジャニ系もどきの動きがますます激しくなる。
「ぐああぁ」
狂ったのかと思った。ジャニ系もどきはそんな雄叫びのような叫び声を何度も何度もあげながら、僕を犯した。
「あ、あぁ、ああ」
僕も大声であえぎ、頭を振り、ジャニ系もどきの体を抱きしめた。
突然、僕の体の上で、ジャニ系もどきが固まった。
「ぐっ」
そんな少し苦しそうな声を出す。
「いったの?」
ジャニ系もどきはなにも答えなかった。なにも言わずに僕の横に転がった。肩で大きく息をしていた。
僕は自分のアナルを触ってみた。少し腫れている感じ・・・指を入れて、その臭いを嗅いでみる。精液の臭いがした。
ジャニ系もどきは横になって、目を閉じていた。竿はもう萎えていた。
(これで終わり?)
僕は、体を起こして、ジャニ系もどきの竿を口に含んだ。でも、いくら刺激しても、堅くなることはなかった。
(僕・・・もっと・・・)
体がぴりぴりしていた。僕はゆっくりと立ち上がった。そして、モニターを見た。残り時間は9分と少しだった。得点は、Aが1600点、Bが1920点になっていた。僕はこの得点を頭に叩き込んだ。

      


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